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楽園の喪失 Paradise Lost

ふと気がつけばトップページに広告が表示されておりました。順調に月刊ブログとなりつつあります。リアルが悪いんや……。

というわけで、今回はこちらで発表されましたニコニコ動画の新バージョンZeroから、ニコニコ動画の未来を考えてみたいと思います。

最大の話題は動画視聴プレーヤーの解像度が変わることですが、横864×縦486といういかにも中途半端な解像度は、Youtubeなどがすでに1080Pまでの高画質化を為し得ていることと比べていかにも見劣りがします。

とどのつまり、これ以上大幅な高画質化は望めないということです。視聴者が真に望み、運営も改善を約束しているサーバーの増設も期待薄でしょう。

さらに言うならば、地味な事項ではありますが。広告機能の削減は注目すべき変更点なのではないかと思います。え?お前が広告クラスタだからだろうって?まあ、それもそうかもしれないですが、そう言わずに私の考えにちょっと耳を傾けていただければ思います。

私は今回の発表から彼らの指向するとことがまずます明らかになったと考えています。

つまり彼らは動画共有サイトであることをやめようとしているのです。
わたくしは以前にニコニコ動画は動画の視聴を通じて、制作者と視聴者との間で交される『好意』の交換という経済活動を現実社会の経済へと変換させるシステムを作り上げたと書きました。


こうした価値の交換それ自体は貨幣価値を伴いませんが、そうした感覚的な価値を数値化し現金化するアイデアと技術でもって、ニコニコ動画は感情的な価値の交換という経済を現実世界の経済へ変換し、ピンハネするシステムを作り上げたのです。これがYoutubeなどとは異なる点であり、私はYoutubeなどが動画『共有』サイトであるのに対して、ニコニコ動画はある種の『動画市場』であると思っています。おそらく彼らはそのことに充分自覚的であり、矢継ぎ早の機能の追加のスピードに比して動画サーバーの増強のスピードが比較的遅いことはそれを如実に表しているのだと思います。


つまり、ニコニコ動画のもっとも優れた発明は、『好意の循環』という『地域内経済』を『貨幣の循環』という『リアルな経済』へ変換するエンジンを作り上げたことにあると思います。それはコメントなどを通じた『双方向性』を基盤において、再生数やマイリスやランキングといった価値の数値化に始まり、プレミアム会員の会費、市場の手数料、ニコニ広告といったリアル経済との変換機関の発明により完成しました。

しかしながら、彼らはそうしたインフラストラクチャーを捨て去りつつあります。

ニコニコ動画が既存のメディアに比べて決定的に異なる点である、コメント等を通じた双方向性に関しては、すでに『NG共有』というシステムを通じて実質的な情報管制がひかれつつあります。そして今回のニコニ広告の変更は『域内経済』の縮小を意味します。

なぜか?それは彼らが『域内経済システム』から『リアル経済』へ力点を移しつつあるからでしょう。簡単に言えば、ちっぽけな『域内経済システム』に依存しなくても、もっと巨大な市場である『リアル経済』で収益を確保できる体制が整ってきたということです。

そして、今後の発展を考えるとき、ニコニコ動画の最大の特徴であった『双方向性』や『域内経済』はかえって、彼らが望む発展=リアル経済での利益追求を不安定化する要因と捉えられているのでしょう。それゆえ、それらは弱体化されることになります。

また権利者や運営による削除の著しい増加といった著作権管理の強化もリアルな経済への適応のための方策の一つであると考えられます。

そう彼らはテレビ化しつつあります。強大で一方向性の古いメディアへ変質しつつあるのです。公式配信だらけのトップページを見てもそれは明らかです。

そして、彼らが次に狙うのは自らからコンテンツを作り上げることです。ドワンゴの川上会長がジブリで修行しているのは偶然ではないでしょう。そして傍目に明らかなボカロの優遇は、それを重要な自社コンテンツの源泉と認識しているからに他なりません。コンテンツの作成から配信まで一貫して行えるようになったとき、彼らの野望の第一段階は終了します。

ニコニコ動画はもはやCGM(Consumer Generated Media)でもなく、UCC(User Created Content)を共有する場でもありません。ニコマスにとってそれは、それはある意味楽園の喪失を意味します。おそらく急に規制が強化されることはないとは思いますが、徐々に制約は強まり、ニコマスのような二次創作は駆逐されていくことでしょう。

悲しいことではありますが、それは避けがたい運命のように思われます。

個人的には、せっかく双方性メディアとUCCの共有という未来的なコンセプトを掲げてここまできたのに、テレビのような滅びつつあるメディアになるとは愚かとしか言いようがないと思いますが、まあ彼らの大局観のなさは今に始まったことではありませんから、諦めるほかないかなとは思っています。

それでも、CGMとUCCという荒野を切り開いて、創造というものが一握りの特権階級の独占物でなく、この国には才能豊かな人がたくさん存在して、それを大々的かつ有機的に結びつけることで、いままででは考えもつかなかったような『創造のビッグバン』とでも呼ぶべき現象を起こし得たという点で、ニコニコ動画の功績は偉大な物があったと思います。そして、そうした『創造のビッグバン』の一つの具体例であるニコマスを私は愛してやまないのです。

願わくば私のこの考えが杞憂でありますように。

あ、大局観って言葉は(ノД`)の人がお好きな『大作感』と語感が似てますね。ということは、この記事もきっと大ハズ(ry

Comment

No:11|
他の論点については特に意見することはありませんが、プレイヤーサイズが横864×縦486に変更される件については、誤解なさっているようなのでひとこと申し上げます。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm9392795
http://www.nicovideo.jp/watch/sm17579617
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16361516

これらの動画は1920x1080でアップロードされており、フルHDのモニタでフルスクリーンモード視聴すれば、ちゃんとHDで見ることができます。
ニコ動は、かなり以前からHDサイズの動画アップロードが可能になっています。今回の仕様変更は単にデフォルトプレイヤーサイズが少し大きくなっただけに過ぎません。
つまり解像度という点ではYouTubeに劣る点はありません。
ただ、他の部分(シーク機能が弱い・プレミアム会員ですら読み込みが遅い)についてはYouTubeに負けているのが現状かと思います。
No:12|ご指摘ありがとうございました
通りすがり様、内科部長です。

コメントありがとうございました。ご指摘通りニコニコ動画は拡大モードではHD動画も視聴可能です。この件に関しましては、私の言葉が足りませんでした。通りすがり様もご指摘のように、『動画サイトとしての根本である動画配信機能の軽視』という視点では意見の一致をみているのではないかと思います。今回のエントリーの主題は『経営の軸足がどこにあるのか、彼らは何を目指しているのか。』にあります。その出発点として『動画は配信機能の軽視』であり、それ以上の何物ではないことをご理解いただければ幸いです。
No:13|
お返事ありがとうございますm(__)m

僕が感じていることも内科部長様と同じだということを、改めて確信できました。

僕なりの言葉でおさらいすると……投稿のモチベーションは「視聴してもらえる」という期待にあるわけで、視聴者に不便を強いてなお改善されず視聴意欲が下がっている現状では、おのずと投稿者のエネルギーも下がる。となると良動画も減り、ますます視聴意欲も下がる……という負のスパイラルを感じます。

運営が新機能を矢継ぎ早に投入しながらもサーバの強化をほったらかしている(やってるのかも知れないけど追いついてないのであればそれはやってないのと同義です)のは、結局のところサーバ強化のコストは膨大で、新機能追加は比較的低コストでありながら「ニコ動、前より良くなりましたよ!」とアピールしやすいからだと推測します。

どちらを優先し予算をどう配分するかは経営判断なので、つまり運営は「これでいい」と思っているのでしょう。
来年あたりマジで心配です。一番元気よく動画を作って投稿してくれてた先駆者達が、呆れかえって離れていくことも起こり得るかも知れないなと……
No:14|同感です
通りすがり様、内科部長です。

全く同感です。新機能もそうですし、イベントや箱物も同様だと思います。多くの視聴者からすれば、それは『本質』ではありませんが、動画配信の質とのバランスを考えたとき、彼らにとってはそちらの方が本質になりつつあるのではないかと感じています。

このままいけば、ご指摘の通り良動画は減っていく可能性があります。

おそらくこすいた動きの背後にいるのは広告代理店でしょう。このへんの古い体質がニコニコ動画にも流れ込んでるように思います。やれやれ……。

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